いじわる



って、カインのことが好きなんだよね?」

「え?」

それはあまりにも突然のことで、私は持っていたお菓子をポロっと落としてしまった。
幸い、それはリディアが私に寄り添って、私の耳元で囁いたため、私以外に聞かれることは無かったが。

「リディア?に何を言ったんだ?お菓子落としたよ?」

セシルが苦笑しながら私のお菓子を拾ってくれる。

「やだなぁ、何言ってるの!てか、カインはローザのこと好きだし!」

最後まで言い切ったところで、自分が大声で話したことに気づく。
セシルもリディアも、更にはローザとエッジまで吹き出す。

「あーあ、わたし、コッソリ言った意味なかったわ」

「アホだな、!!」

リディアとエッジに至っては私を笑うし…。
最悪だ。

「いや?の思っているほど、カインはローザのこと思ってないんだよ?寧ろ…」

セシルがニコニコしながら私の肩を抱いた。
続いて、ローザがクスクスと笑った後、
わざとらしく「あら、セシルったらまたにちょっかい出してるわ!」と大声で言った。
すると、空で飛竜と戯れていたカインが「セシル!!!」と慌てた様子で飛び降りてきた。

「そ、そういうことは恋仲であるローザだけにしておけ…!」

「ほら、僕に嫉妬してるし。カインものことが好きなんだよ」

セシルたちはニヤニヤしながら私たちを温かく見守っている。
カインなんか、「お、お前達…!」と焦りまくってるし。
本来ならば今、私とカインの背景にはピンクのもやもや〜な感じがお似合いなのだろうと思う。

「…あのさ〜、セシル〜?”も”って何。私、カインのこと好きなんて言ってないじゃん」

「え」

私の言葉に一番ショックを受けたのはカインだった。
カインの放心した顔があまりにも面白くて、私は思わず笑ってしまった。

「ぷっ。嘘だよ、私もカインのこと好きだよ。
今まで、カインはローザのこと好きだと思ってたから、好きになっちゃダメって思ってたけど」

「…そ、そうかッ!すまん、俺はお前を愛している!だから遠慮なく俺を好きになれ!」

カインは真っ赤になって私の手をぎゅっと握った




執筆:08年1月3日