思い出の片隅に



「神様、どうか私の願いを叶えてください。
私を・・・ひとりぼっちにしないでください。寂しいです。寂しいです。」

神様であるデンデは、時折地上から聞こえてくる祈りに眉間のしわを寄せた。
毎日、この時間になると必ず聞こえてくる少女の声。
もう、十日以上前からずっとだ。
デンデは少女が寂しがっているわけを知っている。
魔人ブウに両親を殺された。町の人たちを皆殺しにされた。
奇跡的に、少女だけは救われた。少女はひとりぼっちだ。

「(あの子をここに連れてきたら流石にやばいかなぁ・・・)」

デンデは背後にいるミスターポポ、ピッコロ、
クリリン、トランクス、悟天たちを順に見回した。
ここにいる彼らは全員自分の恩人である人と、その家族たち。
全く関係のない少女をここに連れてきてしまっていいのだろうか。
他に助けを求めている地上の人々はたくさんいる。
少女一人だけを助けてしまっていいのだろうか。

「(でも、あの子は何か気になる・・・)」

デンデはふと、ピッコロを見た。
ピッコロはデンデの視線に気づき、小さく頷いた。

「神はお前だ。お前が思ったとおりにすればいいとオレは思う。」

ピッコロの言葉に、デンデの表情はぱっと明るくなる。

「ありがとうございます!」

デンデはピッコロに微笑むと、少女のいる方角に飛んでいった。

「デンデの奴、どうしたんだ?」

「・・・人助け、だ。人助け。私情じゃないぞ。人助けだ。」

「は・・・?」

ピッコロの訊ねたクリリンは、首を傾げてピッコロを怪訝そうに見ていた。











「誰?」

突然自分の前に現れた人物(?)に、少女、は目を丸くした。
とても顔色が悪そうなうえ、悪人面。は一歩後ずさり、
緑色の顔をした人物の様子を怪訝そうに窺がっていた。

「ボクはデンデ。地球の神様をやらせてもらってます。
君は、十日くらい前からずっとボクにお祈りしてましたよね?」

「あ、あなたが・・・神様・・・。そっか、本当に・・・」

デンデはに微笑みかけると、すっと手を差し伸べた。

「さぁ、ここは危険です。ボクと一緒に来てください」

「何で?魔人ブウならもういないよ・・・?」

「ここには、ね。今は別の場所にいるんです。
また、いつここに来るかわからないですから。」

そうなんだ、と呟くと、はデンデの4本指の手を取った。

「デンデの手、とても温かいね。昔と変わらない。」

「え・・・?」

デンデはの言葉に顔を顰めた。
この子は、以前どこかで会ったことがある?

「私は覚えていたよ。デンデ、ちょっと大きくなってたし、ナメック星人は
みんな同じような顔だから最初はわからなかったけど。私、だよ?」

デンデの脳裏を過ぎる記憶。
昔、悟空たちに助けられて地球に来たときに、地球人の女の子と友達になったっけか。
確か、自分は迷子になったときに助けてもらった。
そのときの女の子がこの子・・・。

・・・ちゃん?」

「そう」

デンデはとの、地球を離れるために別れたときのことを思い出す。
あの時は、せっかく仲良しになれた女の子・・・との別れがとても辛かった。
でも、今このとき、そのと再会することができた。

「思い出しました。・・・さん、可愛くなりましたね。」

「デンデこそ、お偉いさんになって・・・。
なんか、もう、私の手の届かないような雲の上にいる人みたい・・・。」

「そんなことないです。ボクはいつまでもさんのことをお友達だと思ってますよ。
・・・それと、もう、助けられてばかりのボクじゃないですから・・・。」

デンデはを抱きかかえて飛翔した。

「ありがとう、デンデ・・・」












天界に戻ったデンデを見て、ますクリリンがニヤニヤ笑いを浮かべた。

「デンデ~、そういうことか!」

デンデは慌てて首を横に振る。が、クリリンは全く笑いをとめようとしないどころか
ブルマたちに広め始めてしまった。
挙句には、ブルマたちもクリリンに加わって、デンデにいたずらっぽく祝いの言葉を述べた。

「やるじゃんか、デンデも。神様も隅に置けないなぁー」

「ち、違いますよ!彼女はボクの友人です。昔、助けてもらったことがあるだけですよ!」

必死に否定するデンデを、尚もからかうクリリンに、ピッコロはため息をついた。

「我々ナメック星人は雌雄がない。だから、地球人とは違って・・・・・
・・・・・こ、ここ・・・恋・・・?などはし、しないのだ・・・」

顔を赤くしながら、言い馴れない単語を必死に口にした勇気あるピッコロを見て、
クリリンは仕方がなさげに納得した。

「そういうことなんです。でも、さんはボクの特別な存在ですよ」

デンデはを見て優しく微笑んだ。



授業中になんとなく書いてたもの。
突発的で短いのですぐに完成させることができました。

執筆:04年10月27日