「シルバーって友達いないの?」
バトルの後、がそんなことを言った。
シルバーは頭に血がのぼるのを感じながら、歯を食いしばった。
勝負に負けた上に、蔑まされた悔しさがシルバーを苛む。
ここは冷静に。
落ち着くんだ。
怒鳴れば自分が惨めなだけだ。
怒りをなんとか抑えながら、シルバーは口を開いた。
「…フン!友達なんていらない!」
信じられるのは自分だけだ。
他人なんて邪魔なだけだ。
今までだって一人でやってこれたんだ。
シルバーは自問自答した。
(本当にそうなのか?)
(ああ、そうだ。)
しかし、はシルバーの考えなんてお構いなしにスッと手を差し出した。
「私、シルバーと友達になりたい。」
あまりにも突発的なの行動に、シルバーは一瞬混乱した。
今まで自分にそんなことを言ってくる奴なんて一人もいなかった。
しかし、シルバーは思う。
(何でよりによってお前なんだ。)
なかなか返事をくれないシルバーに痺れを切らせたは、半ば強引にシルバーの手を取った。
「ゴメン。友達っていうのは、なりたくてなれるものじゃないよね。」
シルバーは目の前で微笑むを見て顔を赤らめる。
「お、お前はオレにとってライバルだ。馴れ合いなんてしたくない。」
の手を振りほどいたシルバーはギュっと唇を噛みしめた。
の手の温もりと柔らかな感触が未だに残っている。
「シルバー。」
「何だよ。」
シルバーはムスッとしながらを睨みつけたが、はニコッと笑う。
「私はシルバーのこと好きだよ。」
「…ッ!?」
の言葉に、シルバーの体温は急上昇した。
ライバルとはいえ、女の子に告白された。
これはどうしたらいい?
「シルバーは私のこと嫌い?」
は不安そうに首を傾げた。
シルバーは慌てて首を横に振る。
「あ、いや、す…好きだ!」
つい、言ってしまった。
(だけど、今までのことを意識してたオレは多分、のことが好きなんだよな…。)
まさか告白されて自分の気持ちに気づくなんて。
発展途上の恋
(なら、私たち友達だね。)
(…と、友達!?)
執筆:09年10月20日