「最近、ヒューバートとパスカルは仲良しだな」
アスベルがニコニコと笑う。
すると、パスカルがヒューバートの腕に抱きついて「うん、弟君と仲良しなんだ~!」って嬉しそうに微笑んだ。
パスカルに密着されて、ヒューバートは顔を真っ赤にしながら否定し始める。
ぼんやりとそんな光景を見ていた私。
心がズキズキと痛む。頭の中がもやもやする。
その苦しさに耐えていると、ヒューバートと目が合った。
「さん」
「うん、何?」
パスカルを振り切って、私の方へと歩み寄ってくるヒューバート。
そして、私の頭を優しく撫でてくれる。
「嫉妬、してくれたんですか?」
少しだけいじわるっぽく笑うヒューバート。
それを見て、私はヒューバートから目を逸らした。
「…うっさい。ハゲろ。どんどん後退していってしまえ」
ほんの些細な事で嫉妬してしまう自分が情けなくて、恥ずかしくて。
それはきっと自分に自身がない証拠。
私に魅力がないから、きっとヒューバートは他の女の子に目移りしてしまうんだ。
そう考えたら、とても怖い。
だけど、嫉妬するのは醜いよね。だからもっと余裕が欲しい。切実にそう思う。
「ごめんねー、。弟君に抱きついたらマズかったよね。でも、大丈夫!にも抱きつけば問題ないよねー!」
パスカルが私の身体を抱きしめた。
ちゃんとお風呂に入ったのか、ふわりとシャンプーの匂いが鼻をくすぐる。
「パ、パスカルさん!!」
ヒューバートが私とパスカルを引き離そうとするけれど、パスカルは嫌がって離れない。
私はため息をついて、パスカルの頭を撫でてあげた。
「よしよし」
本当はわかってた。パスカルは私からヒューバートを奪う気はないって。
でも、パスカルは可愛いし面白いから…。
ごめんね、パスカル。って心の中でこっそりと謝る。
「落ち着くー…って、うおおっ!の身体、やわらかーい!」
突然、パスカルは私の胸に顔を埋めた。
「わっ、パスカル…くすぐったい」
それを見ていたアスベルとヒューバートは顔を赤くする。
特に、ヒューバートは顔を真っ赤にしながら怒っていた。
「パスカルさん!いい加減にしてください!」
私の身体が乱暴にヒューバートに引き寄せられる。
パスカルは簡単に私の身体から離れた。
そして、私はヒューバートに抱きしめられている。
「いくら同性だからといって、やっていいことと悪い事があります!」
きっと、胸のことを言っているのだろう。
パスカルは子犬の様な目でヒューバートを見つめる。
「でも、の胸、柔らかくて弾力があって気持ちいいんだよ?」
「く…っ!」
ヒューバートの視線が私の胸に向く。
気付けば、アスベルまでもが私の胸を見ているではないか。
「確かに、の胸は大きいし気持ちよさそうだよな…」
「や…やだっ、アスベルのばか!見ないで…っ!」
私は慌てて両手で胸を隠した。
恥ずかしい。アスベルにも気持ちよさそうって言われた…!
ふとヒューバートを見ると、額に青筋を立ててアスベルを鋭く睨みつけていた。
「兄さん…ぼくのをいやらしい目で見ないで頂きたい」
今にもアスベルに殴りかかる勢いだ。
「ヒューバート怖い!瞳孔開いてるから!落ち着いて!」
私はヒューバートを抱きしめ返し、ヒューバートを落ち着かせようとした。
「…。」
ヒューバートはそれを察してくれたのか、優しげな声で私の名前を呼んでくれる。
あれ、これって嫉妬してくれたのかな…?
なぁんだ、ヒューバートも私と同じなんだね。
「じゃあ、私の胸に触っていいのは、今からヒューバートだけ…それで、いい?」
「な…っ!!」
私が首を傾げたら、ヒューバートの顔は真っ赤になった。
悩殺、上目遣い!
(あっ、弟君が倒れた!)
(…今のは俺もグッときた…)
(え?えぇ!?)
執筆:11年3月21日