今日は任務がなくて、特にやることがない。だから私は普段したくてもできない"二度寝"ってやつを楽しんでいた。この間、楽しい夢を見たからその続きを見たいなぁ、なんて思いながら目を閉じてみる。うとうとと意識が薄れていく中、私は彼の声を聞いた気がした。
「、入ってもいいか?」
私のパートナーである、リオンの声だ。リオンが、この部屋に入ってくる……?
私は一瞬にして意識を取り戻し、今自分の身形を見て赤面した。寝巻き姿で、だらしなく布団を被ったこんな姿を見られたくない。
「リオン!? ちょっと待っ――」
私が返事をしていないにも関わらず、リオンは扉を開けてこの部屋へと入ってきてしまった。私と目が合い、リオンは目を丸くした。
「だ、大丈夫か!? 熱でもあるのか?」
すかさず私のベッドまで駆け寄り、私の額に手を当ててみせるリオン。熱なんてないけれど、この状況が恥ずかしすぎて頬に熱が篭る。
「う……熱はないんだけど」
どうやって説明したらいいのかな。今日は任務がなかったから遅くまで寝ようと思ったの、なんてリオンが聞いたらきっと彼は呆れてしまう。まぁ、呆れられるようなことをしてたんふぁから仕方ないか。
「二度寝、しようと思ってましたー」
「二度寝……?」
ああ、きっと「こいつ、バカなやつだ」って思ったに違いない。はいはい、すいませんね。バカですよ。少し不貞腐れて頬を膨らませれば、リオンはくすくすと小さく笑った。
「それは邪魔してすまなかったな」
リオンの意外な反応に、私は首を傾げる。
「リオンは呆れると思った。折角の休日なのだからもっと有意義に使え! とか言うのかと」
すると、リオンは私の頭をくしゃりと撫でた。
「僕はのしたいようにすればいいと思うさ。ただ、今日は久しぶりに二人揃っての休みなんだ。もっとと一緒にいたいのだが……」
「リオン……」
リオンの言葉に、きゅんと胸が苦しくなる。うん、私もリオンと一緒にいたい。そうだよね、寝てるなんて勿体無いよね。もっと、二人の時間を楽しもう。
「まぁ、の寝顔を見ているのも、悪くはないかな」
「やだよ! それは恥ずかしいって! 絶対緊張しちゃって眠れないから!」
ばかー! と叫びながら掛け布団をリオンに向かって投げつければ、リオンはそれを軽々と避けた。
「なら、今日は二人でどこかへ出かけようか」
寝巻き姿のまま、ぎゅっと抱きしめられる私の身体。リオンの匂いがふわっと鼻をくすぐる。私はこの優しい匂いが大好きだ。
「うん、デートだね!」
リオンが愛しくて、抱きしめ返す。そのまま見つめ合えばお互いの顔が近くなって、唇が触れ合う。
貴方とならどこへでも
(と、とりあえず着替える!)
(僕が着替えを手伝ってやるが?)
(……準備が整うまでこの部屋は立ち入り禁止ね)
執筆:10年8月12日