※学パロ



もうすぐ高校を卒業する私達。
リッドとリオンと私。
ずっと三人一緒だった。どんな時も。
だけど、それももう終わってしまう。
私達は別々の道を歩まなければならない。
いつまでも続くと思っていたこの幸せはこんなに脆くて、儚いんだね。

最後の授業の日だった。
休み時間、私とリッドはいつものようにリオンの席に移動する。
他愛ない話、授業の復習…今までとても楽しかった。

「リオン、97ページの問4がわかんねーんだけど」

リッドが頬杖を付きながら教科書を指差す。
リオンは何か文句を言いたそうな顔をしたけれど
特に何も言わず、ただ「はぁ」と大きなため息をひとつ。

「このXにこの数字を当てはめろ」

そのリオンの一言で、リッドの表情がぱあっと明るくなる。
どうやらわからなかった問題が解けたらしく、リッドはリオンに「サンキュ!」と微笑んだ。
三人でこんな風にしていられるのも、もうお終い…。

「…どうした?」

リオンが心配そうに私の顔を見つめた。
それに乗じてリッドも私の顔を覗き込んでくる。

「え?」

「そういえば、さっきから元気ねぇな。悪いモンでも食ったか?」

「バカだなぁ」と私を笑うリッドに、リオンが「こいつはお前とは違う」と毒づいた。

「…や、もうすぐ私達バラバラになっちゃうのかなって思って。
こんな風に三人でいられるのも最後だなって思ったら悲しくって」

リオンとリッドは互いに顔を見合わせて、それから私を見て、ぷっと吹き出した。

「バーカ。そんなことか」

リッドが私の額を小突く。

「そ…そんなことって…!」

「永遠に会えなくなるわけじゃない」

淡々と話すリオンの顔は、無表情だった。
リオンまで…。
もしかして、三人でいて楽しかったと…幸せだと感じていたのは私だけだったのだろうか?
リッドとリオンは…感じてくれてなかったのだろうか。

私…自分だけ、満足してたの?
…恥ずかしい。

「…ごめん、離れたくないって思ってたの、私だけだったみたいだね…」

この場に、いたくない。
二人の顔が見れない。
耐えられなくて、私は教室から飛び出した。
二人が私の名前を呼んでくれてたけど…もう、嫌だった。






それから私は二人を無視しながら残りの学校生活を送った。
女の子の友達とずっと一緒に行動してた。
あんまり仲がいいというわけでもなかったけれど。
それでも、リッドとリオンと一緒にいるのはツラいから。



そして卒業式の日。
本当に、終わってしまう。
さようなら、リッド。
さようなら、リオン。
私、いつも二人に甘えてた。バカだよね。
最後の最後に気づくなんて。

式が始まる。

席に着かなきゃ。

そう思った時だった。
突然ぐいっと両手を引っ張られた。
左手をリッドに、右手をリオンに…。

「オレたち、お前といて楽しくなかった時なんてなかったんだぜ」

リッドが、ニカっと笑う。

「僕達だって、お前と離れるのはツラい」

リオンが、照れくさそうに頭を掻いた。

私は二人に囲まれて席に着く。
ぽたぽたと、私の膝に落ちてく涙。
止まらなかった。二人の気持ちが、とても嬉しい。

「…あり、がとう…っ」

「ほーら、泣くなよ。まだ式も始まってねーだろ」

「まったく、これからが心配だ」

二人が必死に慰めてくれたけれど、私はなかなか泣き止めずにいた。
そのまま式が始まってしまい、一人ずつ名前が呼ばれていく。
私達は名前を呼ばれてその場に立つときも、ずっと手を握ったままだった。




卒業しても、家が遠くなってしまっても、私達は会おうと思えばいつでも会える。




「「、これからもずっと一緒だ」」

リッドとリオンが声を重ねて言ってくれた。







いつまでもいつまでも








(二人とも、大好きだよ)



という夢を見たので←  夢小説にしてみた。

執筆:08年3月?
修正:10年5月1日