サレからの依頼が来た。依頼といっても私とヴェイグに対する決闘状だった。決闘には念のためアニーとマオも同行してくれる事になった。いつも一緒に依頼をこなしてくれるリッドとリオンも来てくれるって言ってくれたけれど、今回は少人数で行く事にした。
サレを倒せば、この依頼は終わりだ。だけど、サレを倒したところで彼は救われるのだろうか。今まで何度も私たちに負けてきたサレは、きっとまた私たちに勝負を仕掛けてくる。終わらないイタチゴッコ。そうなれば、殺すしか、ない。
「ねぇ、ヴェイグ。お願いがあるんだけど」
「なんだ、」
指定の場所であるシフノ湧泉洞の青き眠りの地に向かう道中、私はヴェイグに提案する。
「私が一人でサレの相手をしたいの」
サレを救ってあげたい。
そんな気持ちから生まれたこの考え。アニーが私の手を取り、首を横に振った。
「そんな、ダメです! サレは何をしてくるかわかりません!」
アニーの肩にそっと手を置き、ヴェイグが問いかける。
「一人で、やれるのか?」
「やってみせる」
サレが執着しているのは私とヴェイグだ。私かヴェイグかどちらかがサレに手を差し伸べてあげなきゃいけない気がする。でも、ヴェイグは寡黙だから……なんていうか上手く手を差し伸べられるかわからないから、私がやらなきゃ。
「わかった。アニー、マオ。今回はに任せよう。オレたちは何かあったときに助ければいい」
ヴェイグはこくりと頷いてくれた。
「ヴェイグさん……」
「、無理したらダメだヨ! 危なくなったら呼んでネ!」
「うん、ありがとう」
なんとか救ってあげたい。
※ ※ ※ ※ ※
「はい、私たちの勝ち。お命、頂戴だよ」
「勝負あったな、サレ」
サレとの死闘の末、なんとか勝つことができた。銃をサレのこめかみに当てて、私は微笑む。今ここで引き金を引けば終わりだ。サレの命は今私の手の中にあった。
「がはっ……ごふ、ごほっ」
大きな傷を負っているサレは動くこともままならずに悔しそうな目で私を見ている。私はそれを見て、銃をしまった。サレは私が引き金を引くと思っていたのか、目を見開いて興奮気味に声を荒げた。
「何で……殺さない!? 情けを、かけてるつもりか?」
鋭い眼差しを向けてくるサレに、私は答える。
「言ったでしょ……お命頂戴って。これでサレの命は私のものだよ」
絶対に、殺さない。死なせたくない。サレだって、まだやり直せるはずなんだから。
「殺せよ。キミは、僕に……勝ったんだ」
立ち上がる事もできずに、サレはただ壁に身を預けていた。私はそっとサレの身体を抱きしめる。
「だめ。サレはこれから私と一緒に来るの。死んで逃げるなんて許さないからね」
身体が動かなくて抵抗できないのか、それとも抵抗する気がないのか。サレは私の腕の中で嘲笑した。
「フフ……ほんと、最低だね。キミは」
「もう一度、生きよう? 今度は私と一緒に」
サレはしばらく黙った後、一度だけコクリと小さく頷いた。俯いてしまい、ちゃんと顔は見えなかったけれど、泣いているように見えた。サレの顔を隠すようにして抱きしめ直し、ヴェイグたちを見た。
「――勝手に決めちゃったけど、いいかな?」
ヴェイグたちは顔を見合わせた後、うっすらと微笑んだ。
「がしたいようにすればいい。」
「サレをアドリビドムに連れて帰ったら、みんなビックリしちゃうネ!」
マオの言うとおり、みんなの驚く顔が目に浮かぶ。回復しに駆け寄ってくれたアニーと目が合い、私たちは苦笑した。
「あのね、サレ。出来れば皆と仲良くしとほしい。難しいようだったら、最初は私とだけ仲良くしてくれればそれでいいから」
帰ったら、みんなにもサレはもう悪い人じゃないんだよって教えてあげなきゃ。そう思いながらサレの顔を覗き込むと、サレは不敵に笑って見せた。
「、キミはとんだお人よしだね。いいよ、今から僕はの為だけに生きてあげようじゃないか」
アニーの術で身体が動くようになったサレは私の手を力強く握った。
「うん、よろしくね」
「……後悔しても知らないからね?」
Jealousy01
(ふう……サレが来てくれる事に安心したら腰が抜けた!)
(、僕が横抱きで連れて帰ってあげるよ)
(帰ったらリッドさんととリオンさんが何て言うかしら)
執筆:11年3月23日