翔ちゃんと喧嘩した。かれこれもう3日は口をきいていない。
喧嘩の原因は、翔ちゃんが私のデータでリズムゲームをやって、記録更新したままセーブしちゃったこと。
私の記録を塗り替えられたことに悔しくなる。
…今思うとなんてくだらないことで怒ってしまったんだろうと後悔している。
このままじゃいけないとは思うんだけど、なかなか翔ちゃんに会える機会がない。
「ああー、ううー、私たちもう終わりなのかなぁ」
だらしなく寝転がりながら携帯の画面を開いてみても、いつもと変わらない待ち受け画面。
はぁーっと大きなため息をついた。
私から謝るべきだよね。
電話?いやメールで…?
本当は会って直接謝りたいけど、きっと忙しいよね。
メールの方がいいかもしれない。
「よし、メールにしよ…って、うわぁ!?」
メール画面を開こうとした瞬間、携帯がけたたましく鳴り響く。
どうやらメール画面を開こうとした時にボタンを連打していたらしく、通話状態になってしまっていた。
恐る恐る相手の名前を見ると翔ちゃんで…。
「翔、ちゃん…?」
『…おお。なかなか喋らないから心配したじゃん。今大丈夫か?』
たった数日だけど、長いこと聞いていなかったような気がする翔ちゃんの声。
不意に涙が出そうになって必死に堪える。
「うん」
『あのさ、こないだは悪かった…お前あのゲーム頑張ってたしな。
簡単に許して貰えるとは思ってねーけど、やっぱりに会えないのも声を聞けないのもつらくて』
何で翔ちゃんが謝るんだろう。
悪いのは、私なのに。
「翔ちゃんは悪くないよ!ごめんね、私翔ちゃんが離れてからゲームなんかよりも
翔ちゃんの方がずっと大事だって気づいたの…バカでごめん」
「はは…そっか。安心した。今から会いに行っていいか?実は部屋の前にいるんだけど」
「えっ、マジ!?」
まさかの事態に困惑する。
身だしなみを軽く整え、慌てて玄関に向かう。
扉を開けると、翔ちゃんがいきなり抱き締めてきた。
「ずっと会いたかったぜ」
「翔ちゃん…!」
とりあえず部屋の中に入り、もう一度翔ちゃんと抱き合った。
数日振りの翔ちゃんに、私の心臓はドキドキバクバクで破裂寸前だ。
会えなかった時間が長かったからなのか、今までよりもずっと翔ちゃんが愛しく思う。
「はぁ、もう深刻な翔ちゃん不足で死ぬかと思った」
「ばーか。そんなの俺だって同じだよ。
にどう接したらいいかわからなくて怖かったけど、やっぱ会いに来てよかった」
「私も、翔ちゃんに謝ろうと思ってメールしようとしたら翔ちゃんが電話かけてきてビックリした」
「だからあんなに早く出てくれたのか…俺たち、やっぱ繋がってるんだな」
翔ちゃんは小指を出してニカッと笑った。
きっと運命の赤い糸で繋がっているんだと言いたいんだ。
私も、そう思う。
ワンコールの奇跡
(なあ、。キスしていいか?)
(何、翔ちゃんエスパー!?今私もしたいって思ってたんだ)
執筆:12年06月20日