「あらー、殿下ってば可愛い彼女作っちゃって。」

「ラハールさんもやっと愛に目覚めてくれたんですね!」

ラハール様の家来であるエトナさんとフロンさん。
つまりは、私の先輩にあたる人。
何気にラハール様の隣にちょこんと座らせて頂いている私は
エトナさんとフロンさんに勘違いされてもおかしくないらしい。

「ち、違うぞ!はそんなんじゃない!」

「またまたー!大事そうに殿下の隣に座らせてる辺り、やっぱりそうなんじゃないですかー?」

「ラハールさん、彼女を大切にしてあげてくださいね!」

エトナさんとフロンさんはことごとくラハール様をからかっては笑う。
そろそろラハール様のおでこに青筋が浮かんできてもおかしくない。

「貴様ら!違うと言っているだろう!はオレさまの忠実な家来だ!」

私は小さく笑った後、口を開いた。

「ラハール様の仰るとおり、私はラハール様の家来です。
ラハール様とは恋人の関係ではありませんし、全くそのような気もないですよ。
私のような新米悪魔がラハール様には釣り合い取れるわけありませんから。」

ラハール様の横で立ち上がり、深々と頭を下げる。

「…なぁんだ、つまらないわねーっ」

「折角ラハールさんが愛に目覚めてくれたと思ったのに…。」

エトナさんとフロンさんはがっくりと肩を落とした。







「おい、。」

エトナさんとフロンさんがいなくなった後、ラハール様に名を呼ばれた。

「何ですか?」

振り向けば、ラハール様は困った顔で頭を掻いていた。
こころなしか、顔が赤く見える。
体調でも悪いのだろうかと、私は心配になって眉間に皺を寄せた。

しかし、ラハール様は私が予想もつかなかったことを口にする。

「お前は、本当にオレさまと釣り合いが取れないと思っているのか?」

胸が高鳴る。
心臓の鼓動が早くなる。

「え…?」

混乱して言葉にならない。
落ち着け、私。落ち着くんだ、私!

は、オレさまのことは、主君だとしか思っていないのか?」

ラハール様は私にそんなことを聞いてどうするつもりだろう。
私になんて答えろと?

「その…えっと…。」

わからない。
自分の気持ちも、ラハール様の考えも。

「…冗談だ。」

目が回りそうになったところで、ラハール様がふ、と息をついた。

「だが、これだけは言っておく。」

ラハール様は私に背を向けて、腰を手に当てた。
私は目を瞬かせてラハール様の言葉を待つ。

「…オレさまの隣にいていいのは、だけだ。覚えておけ!」

ラハール様の言葉が、私にトドメを刺した。
私は真っ赤になって床に座り込んでしまった。
ほんのりと赤くなったラハール様が慌てて私を立ち上がらせようとする。


03. 彼の隣で



(そ、それって告白なのかなぁ)


執筆:04年09月29日